第69話

美味しくないものを、わざわざ飲みたいなんて変わってる。



ましてや、学校をサボってまで……。




「って、私が作ったココアって微妙な味がするの?自分では凄く美味しく感じるんだけど……」



「かなりね。カンナが味覚オンチじゃないか疑いたくなるくらい」




ナオは意地悪く笑うと私に背中を向けて歩き始めた。




「待って~!!」




振り返ることなく先を歩いていくナオを必死に追い掛ける。



モリッティも他の先生も既に校舎の中に戻ったのか門の前には誰もいない。



学校を出る瞬間、何となく振り返って校舎の3階を見上げた。




キラキラと朝の光が輝く窓の向こう側。



アヤトと視線が交わった──。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る