第68話
「え?ガム!?これを渡す為に来たの?」
わざわざ鞄まで持って?
いっそのこと窓から投げれば良かったのにー。
「まさか。カンナが作った微妙な味のココアが飲みたくなったからだよ」
「ココア?」
「そう。あの甘ったるいくせに味の薄いココアはカンナにしか作れないから。ほら、行くよ」
ナオはそう言って私を置いて歩き始めた。
前を歩くナオの背中を慌てて追い掛ける。
「行くってドコに?」
「家に帰るんでしょ?」
振り返って不思議そうな顔を浮かべるナオ。
不思議なのは私の方だよっ。
「微妙な味ってことは美味しくないってことでしょ?美味しくないのに飲みたいの?」
「まぁね。たまに無性に飲みたくなる時ってない?美味しくないものほど」
「えー。ないよ」
ナオったらやっぱり変人だ。
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