第67話

急に肩に手を置かれてめちゃくちゃ驚いた。



大げさに肩を揺らしてしまう。



ナオはそんな私を見て、クスクスと楽しそうに笑う。




「驚きすぎ。急いで来たんだから早くて当たり前だよ」



「急いで来たの?」



「うん。先生に見つかったら、ややこしいし」



「あ、そっか」




鞄を肩に引っ掛けてるナオを横目に立ち上がる。



ナオが鞄を持ってるってことは、渡したい物って大きな物なのかな?




「ねぇ、ナオ。私に渡したい物ってなに~?」



「ん?あぁ、コレ」




首を傾げて尋ねたら、ナオはシャツのポケットに手を突っ込んで中からミントのガムを取り出した。



緑色の包み紙に包まれた普通のミントガム。



黙ってマジマジと見つめる。



それを掌にトンと乗せられて、そこでやっと我に返った。

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