第63話

前を歩いていくサナちゃんと男の子を見て、思わずため息をついた。



今日は1人で校舎を歩かなきゃダメなんだ……。




学校の門の前では、バーコードハゲを片方の髪の毛で隠した、森山先生ことモリッティが行き交う生徒に挨拶をしてる。




「モリッティ、おはよう!」



「おー。おはよう」





モリッティに挨拶をした私は門を通り抜けて、校舎に足を進めた。




平凡な公立の高校。



全体的にベージュ色の校舎は老朽することもなく、わりと綺麗。



校則が緩いところが魅力的なぐらいで、別に変わった校風もない。



でも、校内を1人で歩くのはちょっと勇気がいったりする。





「ね、あの子……」



「さっき、アヤトが抱きついてた子じゃない?」





自転車置き場の前で飛び交う噂話。



大人っぽい綺麗系な2年生の女の子が私をジロジロ見てくる。




チャラ男でモテるアヤトは校内の女の子とも噂が絶えなくて…。



アヤトの幼なじみだからって、いつも上級生の噂の的になる。




もう。新学期早々やだー。

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