第61話

「アヤト、エスプレッソのオーナーと知り合いなの?」



「そ。あの店のオーナーと前の女が仲良くってさ、1回店に行った時に紹介されて知り合ったんだ。それから、やたらと俺のことを気に入ってるんだよな〜」



「へぇ……まさか、そのオーナーってアヤトの彼女の1人とか言わないよね?」





もし、そうだったら…ちょっとやだ。



アヤトの紹介で入ったら苛められそう。




「はははっ!ないない。あの店のオーナー、おっさんだから。ちょっと変わってるけど」



「あ、なんだ……良かった」





笑い飛ばすアヤトにホッと胸を撫で下ろす。



オジ様ならアヤトに恋愛感情を持っていることもなさそうだし、大丈夫そう。



“ちょっと変わってる”ってところが引っ掛かるけど……。





「じゃあ、今日学校が終わったらオーナーに言っといてやるよ」



「あ、うん。よろしくっ」




アヤトは私たちにヒラヒラと手を振ると、学校に向かって歩いて行った。

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