第37話

「は、はぁ?」




サナちゃんに追い払われた男の子は動揺を隠し切れずに顔を引き攣らせてる。




ボーイフレンド?って疑問を持つと同時に、キキーッと自転車の急ブレーキを掛けた音が鳴り響いた。



音がした方に顔を向けてみたら息を切らしたケイが立っていて。




「サナさん……会いたかった。僕は1日足りともあなたのことを忘れたことなんかありません」




ゼイゼイと息を切らしながらケイは自転車を放り出して、こちらに向かって歩いてくる。



野球のユニホームを着てるってことは、練習……サボったのかな?




「あらあら。相変わらず、お上手ネ」




そんなケイにサナちゃんは満面の笑みを向ける。



顔をほんのりと赤らめたケイは、片膝をつくとサナちゃんの手を取ってキザに口づけた。





「サナさん……意地悪を言わないで下さい」



「出た……」



「サナさんの南国の海を思い出させる青い瞳。一流の人形師に作らせたような長い睫毛。高級なイチゴを連想させる真っ赤な唇」



「………」



「1つ1つが僕の心を掴んで離しません。抱かせて下さい」




キラキラと瞳を輝かせてサナちゃんを見つめるケイ。




ナンパをしてきた2人も唖然としてる。

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