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「おめでたい頭してるよね。だから騙されるんでしょうけど」
「だ、騙されるってなに?俺がいつ、誰に騙されたんだよ」
「古川愛子」
「はぁ?愛子がなんだよ。愛子は被害者だ。加害者ではない。むしろ騙されてるのはお前らじゃないの?」
本当に、なんで世那の味方してるんだ?
俺が必死に愛子を庇う様子を見て、その場にいた友人は呆れた顔をしていた。
そんな中でも、一番嫌悪感を隠そうとしない希美は、瑠衣とも仲が良かったが世那の親友だ。
その希美が、呆れた顔をして口を開いた。
「たしかゼミの集まりで愛子が作ったケーキを世那がひっくり返したり、先生に渡す誕生日プレゼントを遼と愛子で選んだ逆恨みでプレゼントを水浸しにしたり、愛子のレポートをビリビリに破いて自分の鞄の中に隠したりしたんだっけ?」
「それだけじゃない。いたずら電話やメールをたくさんして、愛子にミスコンにでたらタダじゃおかないなんて脅して。挙句、ミスコンのために用意したドレスも破いた」
「ふーん。で?それを世那がやる理由は?」
「それ、は……、俺と世那が付き合ってる時に、俺が愛子と仲良くなったことに嫉妬したのと、自分がミスコンで優勝したかったんだろ」
世那がそう言っていたと、愛子が涙ながらに話してくれた。
たしかに、俺たちも世那に悪いことをしたのかもしれない。だけど、だからって世那が愛子にしたことは許されることじゃない。
それくらい、愛子は傷ついていたんだ。
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