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「俺、世那に頼まれて、一ヶ月だけ結婚したんだけど、それも希美は知ってるの?」
「知ってるよ。でもあれね、婚姻届なんて出してないよ。世那が最期にあんたと話がしたいけど、普通に話がしたいなんて言っても取り合ってもらえないから、お金で釣っただけ」
「なんだよ、それ……」
「ねえ、まさかだけど、まだ世那が自分のことを好きだとでも思ってた?」
「……っ、」
正直、思っていた。一ヶ月でいいから結婚してくれだなんて急に俺の元に現れたから。
事情は聞いたけどそんなのは建前で、まだ世那は俺のことが好きで、愛子から略奪でも考えているんじゃないかって。
一ヶ月、結婚したら大金がもらえる。それを本当に愛する人との結婚資金にするためのバイトくらいに思っていた。
ついでに俺の大切な人を傷付けた世那を傷つけてやろうって。俺たちの間に入る隙間はないことをみせつけてやろうって、そう思っていた。
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