第47話

コイツハ ツカエル。




        血が沸き立った。




 女は戦った相手を瀕死までもっていった。両者が気を失った後に、対戦相手である“ケイジャン3”を処分したのは俺のナイフだが。


 思いついて、ケイジャン3がバトル中に飲み込んだ女のピアスを、喉奥から取り出した。こいつは興奮すると、異物を食べたがる癖があった。



 留め具はない。血と粘液で汚れたそれをチームDの一人に渡し、“綺麗にして”女の近くに転がしておけと指示した。



 チームDは、驚くほど短時間でここを綺麗にする。髪の毛一本、指紋一つ痕跡を残さない徹底したチームDのメンバーは、無言のまま、じっと俺を見た。



「価値のある女だ。“繋がり”をつくっておく」


 無言のまま、そいつは頷く。


 女はぐったりと倒れたまま。




 さあ、どうする?お前。


 クスリは強いぞ。助かるか、廃人になるか。まずは一つ目の試練だ。



 ピアスはどうする?捨てるか、隠し持っておくか。


 今日ここであったことを、お前がどう受け止めていくのか。おまえ、もしかしたら人殺しだぞ?



 目が覚めた後の、全部がお前はへのミッションだ。しくじって俺をがっかりさせるな?






 再会は、必ず用意する。


 その時には、せいぜい俺を楽しませてくれよ。――T。

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