第48話
そこから一年も満たず、
機会はやってくる。
南の島から離れた東京の、一流企業の自社ビルの社長室。
そこを自由に出入りする女。
世界が最も注目する男としてアメリカ経済誌が記事をのせるような一流の人間。
その人間が、目に入れても痛くないほど大事にする女。
あれだけの深淵を体験しておきながら、笑えてる女。大袈裟に子供扱いする俺に、まだ、むっとできる女。
ゾクゾクする。
ピアスをつけ、悪夢を持ち歩ける強さ。
おそらく社長に教え込まれたであろう、女の色気。
俺が強引に唇を奪えば、泣くどころか睨みつけて舌を絡ませる勝ち気さ。
想像以上にいい仕上がりだぞ、お前。
つい、Tとのキスに本気になりながら、俺は血がたぎるのを感じた。
俺に、堕ちて来い。
こっち側の人間に、なれ。
キーワードは小澤和臣。
Tの弱点は、もう視えていた。
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