第9話

乱れる呼吸に上下する細い肩をシーツに押し倒しながら、京矢はほくそ笑む。


 紗季乃の身体を隅々まで味わうことのできるこの時間を、京矢はとても気に入っていた。


 着物に身を包み、近寄りがたい高尚な美を纏う彼女を知っているだけに、同一人物とも思えない奔放で卑猥な彼女を腕に抱く優越は計り知れない。


 目隠しはそのままで、薄く開いた彼女の唇に指を差し入れ舌を撫でるように混ぜた。二本の指に紗季乃の唾液を充分絡ませ、ゆっくりと出し入れする。


 そうしながら、彼女を強く貫いた。


 「ああんっ!」


 すがるようにシーツを握りしめて、紗季乃は膝を立てる。


 上がった顎の細さ。その、震え…。


 それは堪らない刺激――。


 おそらく彼女もそうだろう。


 シルクの目隠しをし、唇の端から一筋の唾液が流れ出る、淫らな少女。


 その光景に京矢の喉がゴクリと鳴った。

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