第24話

(和臣視点)


 つくづく思い通りにいかない子だと思う。何の遠慮からか面談があることを隠し、高校での修学も辞退する気でいるらしい。


 もともと他人だった俺達だから、彼女の気遣いが理解できない訳ではない。だが、まだ俺や蓮太に対して一線を引いているのかと思うと、苛立ちが湧いてくるのだった。


 それに教師の言葉も気に障る。教え子に恋愛を勧めるその無神経さ。…俺を目の前にして。事情を知らないことは承知の上で、それでも感情はささくれだった。


 ──だから達樹に気持ちをぶつける。荒々しく唇を奪って。


 だが首を振る達樹に、それが解決の方法にはならないことを思い出した。ここで体を奪っても、それは彼女を手に入れたことにはならない。そんな方法で彼女の心を支配できないことは、俺が一番よく知っていた。


 ではどうすればいい?

 

 …俺はその体を解放した。

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