第7話

「どうでもいいが」


 ぐっと、一際強く、包容を深めた。


「お前以外との、あれこれを言い訳しておく」


 言い訳。


 らしくない台詞に、目を見開く。彼の顔が見たかったけど、小澤さんの胸に強く頭を押しつけられていたから、それは適わなかった。


「茶番。計画。利用」


 冷えた言葉に、体が堅くなる。それでも『聞け』と小澤さんは続ける。


 当然だ。最初に質問したのは私の方なのだから。


「打算。道具」


 でも、それ以上は言わせたくなかった。どうしてだか、他の誰かが小澤さんと口付けるシーンが脳裏に浮かんで、それに酷く焦ってしまったから。


「もう充分です」


「だろうな。みっともなく弁解して、許しを乞うなんて人生初の経験だ」




 ──私の方がゴメンナサイと、彼の胸におでこを押しつけた。

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