第6話

私たちは何をしているんだろうと、自分に問い続けた数日。美優さんを──多分困らせた。


「依存。疑問。呵責」


 タトゥーを彫った私に、怒った小澤さん。


 そこからは…。


「怒り。許容。共有。欲情」


 閉じたままの眦から、静かに涙がこぼれた。


 小澤さん。


 小澤さん。ずっと、側にいてくれた人。


「尋問。和解」


 思い浮かべる、熱を出した次の日の出来事。深淵に怯え続けてる私の横で、彼は一緒に夜を待ってた。そのことを責めた小澤さんは、結局うやむやなままにしてくれている。


 それごと私を包んでくれている。


 涙が──止まらない。




 小澤さんの暖かい唇が、私の瞼にあてられた。その感触に安心して、私はじっと涙を堪える。泣く必要などないのだ。



 だって、小澤さんはここにいる。



「和解、で終わりか?」


 甘く、声が瞼をくすぐった。


「補給。勝負。それから──敗北」


 よし。大丈夫。涙は止まった。



 私は小澤さんを、正面から見据えた。



「私、あなたのキスに溺れてる」



 よくできました、と。


 

 小澤さんは強く抱きしめた。

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