ホームグラウンド
第3話
重く錆び付いた厨房のドアを、ビールケースを持ったタツキは右肩で勢いよく押し開けた。
途端、お腹までビリビリ震えるような騒音紛いの音楽に包まれる。
流れる曲は本来のR&Bよりピッチが早く、低音が抑えられている。
これはジェイクの音だ。
それで今日のレンタルホールが、ジェイク主催の「クレイジィ ダンス ナイトクラブ」だと判った。
自称“本場を知るDJ”の彼は、恋愛も音楽もヘビィなのは苦手だと公言している。
音楽、笑い声、喧嘩、異性への賞賛、批判、ボスの愚痴。グラスの響き、クラップ。
コンクリートの箱の中で、大勢の人たちの、ありとあらゆる音が混ざり合った週末の洪水みたいな空間。
16歳のタツキには…その独特の濃さを持て余すこともあるけれど…馴染んだ生活の一部となっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます