第44話

『こんばんは、澪です。

 先程はありがとうございました』


躊躇いながらも、メッセージを送信してみる。

暫くすると携帯が鳴り、早速明日香から返信が届いた。


『店に来てくれてありがとね!

 2人にもお礼を言っといて下さい。

 明日は何処に行くの?』


『大濠公園とかです』


と、返信すると優が声を掛けてきた。


「メッセ来た?」


「うん、来た」


そう言って、優に携帯を渡すと、夏も携帯を覗いた。

すると、優が勝手に操作を始めた。


「ちょっと、何してんの!?」


携帯を取り返そうとするも、ギリギリのところで交わされてしまった。


「よし、これでおっけ」


嫌な予感がする。

差し出された携帯を取り、メッセージの画面を確認してみると。


『優と夏が『2人で出掛けておいで』と言ってくれたので、2人で出掛けませんか?』


メッセージは既に送られていて、既読マークがついていた。


「何で余計な事すんのよ!」


「だってさ~、2人ともお似合いだって。

 こんだけイケメンだし、違和感ないでしょ。

 澪は前に付き合うのに、男も女も関係とか言ってたよね。

 それにさ、澪にはもう悲しい顔をしてほしくないんだよ」


「それは…」


「元カレの話をしてる時も、あたしらと一緒にいる時も、時々凄く悲しい顔をする。

 元カレの事を忘れられないのも解る。

 でもさ、そろそろ新しい人に目を向けてもいいんじゃないかな」


「あたしは…」


「どれくらい待てば帰ってくる?

 解りもしないのに、ただ闇雲に待つなんて勿体ないよ。

 無理に明日香さんや他の人と付き合えとは言わない。

 けど、他の人を見るのも大事な事だと思うよ」


何も反論出来ない澪の頭を、優しく撫でる優。


「強引だったのはごめんね。

 でも、こうでもしなきゃ、澪は踏み出す事をしないと思ったから。

 気晴らし、しておいでよ」


優が言葉を言い終わると、タイミングよく携帯が鳴る。


『じゃあ、お言葉に甘えて2人でどっか行こうか!

 美味い飯屋があるんだ。

 待ち合わせはどうしようか。

 駅の方が解りやすいかな』


溜め息が1つ零れる。

適当に返信をして、メッセージを閉じた。


携帯をテーブルに置き、窓の外を眺めてみる。

貴女がいる場所は、もう朝を迎える頃だろうか。


自分はどうすればいいのだろう。

見つからない答えに、もう1つ溜め息が零れた。

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