第35話

そんなこんなでダブルスの試合が行われる事に。

美咲&澪VSありさ&梓。


「奥歯ガタガタ揺らしまくってやるから、覚悟しとけよな!」


「強気でいれんのも今の内だぞ。

 後で泣きを見ても知らんからな!」


健全なるスポーツで対決する筈なのに、飛び交う言葉は喧嘩時の挑発ばかりである。


「仕方がないから、サーブ権はそちらに差し上げよう。

 まあ、ありさじゃ1発も打てないだろうがな!」


「ぎぃいいっ、上からものを言いくさりおって!

 梓!美咲のこめかみ撃ち抜くつもりでシャトルを放て!」


「ありさ、シャトルで人を殺める事は出来ないよ。

 どうせやるんだったら、ゴルフのアイアンで頭をフルスイングした方が…」


「あっ、梓、美咲を殺さないで!?」


ありさから受け取ったシャトルを、きれのいい音と共に放った。

すぐさま澪が反応し、打ち返す。

梓に名前を呼ばれたありさが打ち返し、それを美咲が打ち返す。

ありさが受け取ろうとしたが、あえなく失敗に終わった。


「よし、まずは先制点だな」


美咲と澪はハイタッチを交わす。


「ありさ、美咲の挑発に乗っちゃ駄目だよ」


「解ってる、解ってるんだがつい体が反応しちまうんだ」


「ほれほれ、この首取るんだろ?

 かかってきなさい」


わざとありさを煽る美咲。


「ダーリン、手加減しないからね?」


「ちょ、ハニー!?」


素早くシャトルを放つ。

慌てて打とうと走り出したが間に合わず、シャトルは美咲の足元に落ちた。


「美咲、煽りすぎだってば」


「すまん、調子にのっちまった。

 よし、とりあえずありさを潰そう」


「な、何でデスマッチになってるの!?

 なんかもう、爽やかなスポーツと言うより、任侠チックな争いになってない!?」


戸惑いを抱えながらも、今度は澪がサーブを打った。

ありさが打ち返すと、すぐに美咲が動いた。

梓が打ち返し、そのままラリーが続く。

が、一瞬の隙を突いてありさが澪の方へ打ち返すと、澪は動けずシャトルを拾えなかった。


「どうだ、あたしと梓の連携プレイは凄かろう!」


「こっちだって負けてないっての。

 澪、点数取り返すぞ」


「うん!」

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