第18話
「みさきち、飯の仕度が出来るまでもうちょいかかるから、先に風呂入れば?」
「お、そうさせてもらおうかな。
久し振りに湯船に浸かれる~」
「向こうではどうしてたの?」
「寮はユニットだったんよ。
冬場は寒くて大変だったなあ。
暫くユニットはご遠慮したいずえ~い」
煙草を吸い終わり、両腕を上に持ち上げ、伸びをする美咲。
「温泉とか行きたいなあ。
あ、銭湯も行きたいなあ」
「あ、僕も銭湯行きたい」
「2人で行って、裸の付き合いする?」
「みさきちが言うと、いやらしく聞こえるのは何でじゃろな」
「ありさ、こんにゃろう」
ふと、何かを思い出した美咲は、自分の鞄をごそごそと漁り始める。
その様子を見ている梓。
「美咲、どうしたの?」
「2人にお土産あるの、思い出したんだ。
梓にはこれ」
梓に紙袋を手渡す。
「開けていい?」
「うん、開けてみ~」
紙袋を開けてみると。
「うわあっ、写真集だ!
英語だから何て書いてあるのか解んないけども嬉しい!」
「ははは、空とか景色とかの写真集なんだけど、英文読まなくても写真のところだけ見れば大丈夫かなって。
こっちはイギリスの風景の写真集なんだ。
梓、たまに風景画も描いてたっしょ?
それを思い出して買ったんだ。
良かったら貰っておくれ」
「ありがと、大事にする!」
嬉しそうな梓を見て、美咲も嬉しくなる。
梓にお土産を渡したのを見たありさが、台所から飛んできた。
「みっさきち~、あたしにもお土産あるんじゃろ~?」
「おう、勿論あるぞ。
ありさの事を思いながら、一生懸命選んだんだ。
気に入ってもらえると嬉しいんだが」
再び鞄をごそごそと漁る美咲を、ありさはるんるんな表情をしながら見守る。
「早くくれよ~」
「待て待て、お土産は逃げないから安心しろって。
あれ?何処やったかなあ」
「ちょ、みさきち、焦らすなよ~」
「焦らしてないって。
あ、あったあった。
よっしゃ、ありさ、目蓋を閉じるがよい」
「おし、目蓋を閉じたぞ!」
「両手をこちらに向けて差し出すがよい」
「ほい、差し出した!」
梓はと言えば、美咲が鞄から取り出したものを見て、笑いを堪えている。
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