第30話

「梓は土日休みだから、週末オッケーだって。

 ありさは早めに予定が解れば、早上がり出来るってさ」


「ありさ、めっさ張り切りそうだし、めっさ五月蠅そうだから、たこ焼きに睡眠薬入れといて寝かしちゃおうぜ」


「さらっと怖い事言わないの!

 今月のシフト、まだ出してないから美月さんに交渉してみよっと」


「私は店長代理だけど、ほぼ店長みたいなもんだから、権利を最大限に使って休みを取るとしよう。

 副店長は私に借りが結構あるから、首を縦に振ってくれるだろうな」


「美咲、今すっごい悪い顔してるよ」


その後、それぞれ予定を合わせ、来週末にパーティーをする事になった。

澪は梓と、パーティー前日に必要な食材や酒を買いに出かけた。

梓は免許の合宿に行き、車の免許を取得した為、車で買い物に行く事が出来た。


買い出しが終わると、荷物を美咲達の家に運んだ。

梓を家に上げ、お茶をしていると美咲が帰宅。


「ただいま~」


「おかえりさない、ダーリン。

 今日も1日お疲れ様。

 お風呂一緒に入る?

 ご飯にする?

 ベッドで一緒に寝る?」


「やあハニー、買い物お疲れ様。

 車も出してくれてありがとう。

 お礼と言ったらなんだけど、私の体でお礼をす…」


「美咲も梓も、玄関でイチャついてないでリビングおいでよ」


リビングに行くと、澪が美咲の分のお茶が入ったコップをテーブルに置いたところだった。


「おかえり、今日はいつもより早かったね」


「今日は客が少なかったから、早めに片付けして切り上げたんだ。

 ここんところ、すんげ~忙しくてスタッフのみんなもヘロヘロだったから、早めに帰したんだ。

 梓、夕飯食ってく?

 今日はカレーだよん」


「食べてっていいの?

 やった~!

 ありさの分も貰ってもいい?

 今日、ありさは町内会の会議で、帰りが遅くなるんだ」


「ん、ちゃんとありさの分も持たせるから大丈夫だよ」


3人で食事を済ませると、梓は美咲から貰った手土産を持って帰った。



食器を洗う澪の横で、美咲は換気扇のスイッチを入れ、煙草を吸い始める。


「ここで4人で集まるのも、明日で最後だね」


「んだね~。

 寂しさもあるけどさ、いっぱい楽しもうね。

 まあ、ご近所さんに苦情入れられない程度にさ」


クスクスと澪が笑う。


「買い物行ってくれてありがとな。

 澪も疲れてんのに」


「あたしは全然大丈夫だよ。

 美咲のお役に立てて何より」


澪の額にキスをすると、澪ははにかみながら笑った。

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