第24話

忘れていた携帯の存在を思い出し、見てみると優からメッセージが届いていた。


『本当に美咲のところに行ったの?』


優には行くと伝えていた。

また喧嘩にならないかと、心配をしていたのかもしれない。


『来たよ。

 今、美咲が晩御飯作ってくれてる』


返信して、ちょっとしてから携帯が震え、優から返信がきた事を伝える。


『喧嘩してないなら安心した。

 迷惑掛けないようにね』


やっぱり心配をしていたようだ。

この前の事もあるから、なおの事だろう。


返信は一旦置いておく事にする。

軽く店の中を見渡すと、スタッフ達がテーブルを拭いたり、メニューを並べたりと、忙しそうにしている。


程なくして、店のドアが開き、客が入ってきた。

また一組、更に一組と入ってきて、店内は一気ににぎやかになる。


「お待たせしました。

 お先にセットのミニサラダです」


スタッフがサラダが盛られて皿と、スプーンとフォークが入ったトレーを持ってやって来た。

早速いただく事にする。


ドレッシング、うま~っ!

程好い酸味と甘みが口に広がる。

ミニサラダという事もあり、すぐに食べ終わってしまった。


「おまっとさん、特製オムライスでござんす」


オムライスは、美咲が運んできてくれた。


「美咲、サラダのドレッシング、すんごく美味しかった!」


「そりゃあ良かった。

 この前悪友から大量ににんじん貰ったから、にんじんドレッシング作ったんだ」


「えっ、手作りなの!?」


「売られてるやつも使ったりするよ。

 オムライス、熱いから気を付けてな」


置かれた皿には、とろとろの玉子に、トマトソースとデミグラスソースがかかっていた。

湯気と共に、美味そうな匂いが鼻をくすぐる。


「ソース、トマトかデミグラか聞くの忘れちゃったから、両方かけといた」


「ふわ~っ、美味そう!」


「口に合ったら嬉しいよ。

 ごゆっくり~」


美咲はすぐに厨房に戻っていった。


トレーからスプーンを取り、熱々の玉子をすくって口に運んだ。

口いっぱいに広がる、とろっとした玉子とデミグラスソースに心が躍る。

こんなにふわふわなオムライス、初めてだ。


玉子とチキンライスを一緒にいただく。

ケチャップの酸味が玉子と混ざり、頬張れば頬張る程、美味さが溢れてくる。


「うんま~いっ」


思わず言葉が出てしまった程だった。

澪はこんな美味しい料理を、いつも食べてるのか。

少々羨ましく思える。


「あ、写真撮るの忘れた」


気付いた夏は、携帯を手に取り、写真を撮ると優に送った。

食事を再開して間もなく、携帯が震える。

すぐに優からの返信だと察する。

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