第15話

優を中心に会話をしていった。

無論、澪の話で持ち切りだ。


美咲が知らない澪を知れるのは嬉しかったが、少しだけ寂しくて切なかった。

が、そう思っても仕方がない事だと、気持ちも切り替える事にする。


「そういえば、昔の澪ってどんな感じだったんですか?」


夏の質問に、優もパッと顔を輝かせる。


「あ、それあたしも聞きたかったんだ~。

 澪に聞いても、あんまり話してくれなかったし。

 でも、ありささんっていう人の話をよくしてました」


「あ~、それ私の悪友です」


「あ、悪友!?」


「いや、褒め言葉です(※ありさにのみ適用)

 悪友という名の親友と言うか、腐れ縁の友達と言うか。

 私が向こうに行ってる間、ありさともう1人の友達の梓に澪の事を任せていたので」


「そういう事か」


と、美咲の携帯が震えた。

その後に、夏と優の携帯も震えた。

それぞれ携帯を取り出し、確認をする。


「澪、そろそろ来るみたいですね」


「澪の事、すっかり忘れてた…。

 うちら、もう4杯くらい飲んじゃってるし」


「まあ、いいんじゃない?

 夜はまだまだこれからって言葉があるんだし。

 それより、昔の澪の事教えて?

 澪が来たら聞けなさそうだし」


「そうだなあ…どんな澪の話を聞きたいんですか?」


「所謂、思い出話みたいな」


美咲は先程頼んだお茶割りを飲みながら、頭の中で高校生だった頃の事を思い出す。


「う~ん…。

 初めて逢った時は、綺麗な子だなって。

 仲良くなっていく内に、おっちょこちょいなところとか、明るくて可愛いところが見えていったというか」


目を細めながら、遠い記憶を眺めるように。


「笑ったり、泣いたり、笑ったり。

 落ち込んだと思ったら、ふとした事で元気いっぱいになったり。

 見てて面白かったな」


いろんな君を見れるのが、ただ嬉しくて。


「そんな澪の事、気付いたら好きに…なってた」


いつの間にか芽生えていた恋心。

それは淡く、儚くて。


「澪も私の事を、好きになっててくれていたのは知らなかったから、澪から告白された時は凄くびっくりした。

 けど、凄く嬉しかった」


と、夏が口を開く。


「美咲さんて、その、男の人と付き合った事はあるの?」


「美咲でいいよ。

 付き合った事はあったけど、最後は自然消滅。

 若さ故ってやつ」


「そっかあ。

 女の子と付き合う事に、抵抗…と言っていいのかな。

 戸惑いとかってんかったの?」


「ないと言ったら嘘になるけど、男と付き合うのとそんなに変わらなかったよ」


「そうかあ」


頷きながら、夏はジョッキに残っていたハイボールを飲み干した。

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