第49話
ある日の事。
課題を終えて休憩をする事に。
冷蔵庫からお茶のペットボトルを取り出し、グラスに注ぎ、一口飲む。
そういえば、今日は欲しかった本の発売日だった。
久し振りに本屋に行くとしよう。
ネットでポチっと購入出来るものの、あたしは本屋で直接買いたい派だ。
沢山並べられた本の表紙を見て、気に入ったら買ってみるとか。
はたまた、軽く読んで気になるから買ってみるとか。
そういう楽しみ方をしながら、本を買うのが好きだ。
昼食を済ませ、仕度も済ませ、外に出てみれば灼熱地獄。
何なんだ、この恐ろしい程の暑さは…。
熱々に熱された、フライパン…いや、中華鍋の中にいるような気分になる。
開けた玄関のドアを閉める。
そうだ、前に買った日傘があるじゃないか。
探しだし、手にして、再び玄関のドアを開け、日傘を広げる。
先程よりは幾分楽だ。
途中で飲み物を買って、水分補給をしながら行かねば。
駅に向かい、隣の駅の本屋へ向かった。
ここの本屋は地元の本屋よりも大きくて広い。
本も沢山置かれているので、あたしのような人間にはまさにパラダイスなのだ。
欲しかった本を見つけ出し、手に取る。
時間はたっぷりあるから、くまなく店内を物色。
と、壁に貼られた1枚のポスターに目が止まる。
ポスターは夏祭りのものだった。
そうか、もうそういう時期か。
小さい頃は家族と毎年行っていたが、中学に入ってからは行かなくなった。
無論、知り合いに逢いたくなかったからだ。
夏祭りは土日に行われ、土曜の夜に花火が上がる。
そのお陰もあり、土曜は特に混むのだ。
彼女は誰かと行くのだろうか。
高橋さんと行ったりするのか、はたまた別の人か。
あたしにもう少しの勇気があれば、誘う事だって容易かっただろう。
溜め息を1つ溢し、その場を後にした。
物色が終わった頃には、籠の中には5冊の本が入っていた。
文庫本と漫画を無事にゲットし、お会計をするべくレジに並んだ。
あたしの番になり、精算を済ませ、店を出てすぐの事だった。
少し先に、見慣れた顔があった。
あちらはあたしに気付いていない。
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