第15話

日曜日。

待ち合わせの時刻より、少々早く到着してしまった。


遡れば月曜日。

放課後、図書室で彼女に逢った。

挨拶もそこそこに、デー…いや、遊びに行く話になる。


「さてさて、デート場所は何処がいいかなあ」


「デート!!??」


「図書館…いや、五月蝿く出来ないもんね。

 やっぱカフェとかの方がいいかな?」


「デート…服装…ええっと…」


「もしもし、舞さんや、呪文のようにデートというワードを繰り返し口にしてるけど、そんなに『デート』が嬉しいの?」


ニカっと歯を見せて笑う彼女を見て、あたしはやっと思い出す。


「あ、遊びに行くんだよね!」


あたしの反応を見て、彼女は楽しそうに笑う。


「何なら、本気でデートする?」


顔が真っ赤になり、頭の中が真っ白になる。

口をパクパクするあたしを見て、彼女は更に笑う。


「まあ、いつか本気でデート出来たら嬉しいけど」


ぼそりと独り言のように呟く彼女。

が、すぐに彼女は顔を赤くしながら両手を左右にぶんぶんと振った。


「い、今のは単なる冗談!

 さ、何処に行くかを決めようか。

 あ、日曜日は空いてる?」


そんなこんなで、2人の家の中間地点にある、大きな公園に行く事になった。

待ち合わせ場所の駅で落ち合う事になっている。


改めて、今日の自分の服装を見てみる。

白のティアードマキシワンピースに黒の薄いカーディガン、靴はラフなスニーカーにしてみた。

学校にいる時は下ろしている髪を、緩く束ねてサイドポニーにしてみた。

おかしいところはないだろうか。


「ま~い~」


声がする方を見ると、これまたラフな格好をした彼女が、パーカーのポケットに片手を突っ込み、もう片方の手を大きく振りながらこちらへ歩いてくる。


黒のパーカーに、黒のTシャツ。

濃い藍色のスキニーに、スニーカーという出で立ちで、どっから見ても男の子のようだ。


「お待たせ」


制服姿でないせいか、いつもと違って見える。

よく見てみると、彼女は左耳にピアスを1つ付けていた。

確かうちの校則はピアスの着用は禁止だった筈。


「ピアス、開けてるんだね」


言われた彼女はピアスを弄る。


「学校にはしていけないから、休みの日は付けてるんだ。

 さて、じゃあ行きますか」


公園に向かうと、休日という事も手伝って、家族連れが多かった。

楽しそうに遊ぶ子供達を横目に、あたし達は人気が少ない場所にあるベンチへと向かった。

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