第66話
アタシの知らないところで、雪ちゃんは光を見つけた。
それはとても温かくて、優しくて。
何処でどんな出逢いがあるか、解らないもんだな。
小さな切っ掛けで、こんなに変わる事もあるんだな。
自分の事のように嬉しくてたまらない。
大事な友達が、大きな1歩を踏み出そうとしている。
この進化が、嬉しくない筈がない。
アタシに出来る事があるなら、全力で応える。
だって、やっと雪ちゃんが「笑って」くれたのだから。
飾った笑顔じゃない、本当の笑顔を見せてくれたのだから。
この笑顔を守りたい。
頼りないかもしれないけど、守っていきたいし支えていきたい。
「さっきからニコニコしてどうしたの?」
「ん~、雪ちゃんが笑ってくれるのが嬉しくて」
「あたし、そんなに笑ってる?」
「うん、凄く笑ってるよ。
こんなに笑ってる雪ちゃん、久々に見た」
また恥ずかしそうに照れてる。
そうやって照れる事だって、ここ何年も見てなかったよ。
「ところで、そろそろ暑いんだけどな」
そうだった、ずっと抱き付いたままだった。
「たまにはこういうのもいいじゃない」
「いいんだけど暑いよ」
雪ちゃんはクスクスと笑う。
「ね、雪ちゃん。
久し振りに一緒にお風呂入ろっか!」
「恥ずかしいからやだ」
「即答っ!?
たまにはいいじゃん!」
子供の頃は、よく一緒に入った事だし。
「今の希美のテンションだと、そのまま襲われそう」
「襲わないよ!?
ほら、女同士裸の付き合いだよ!」
「上手い事言って、これみよがしにあたしの裸を見ようという魂胆なのね」
「アタシ変態じゃないよっ!?」
慌てるアタシを見て、雪ちゃんは吹き出した。
とても楽しそうに、ケタケタとよく笑う。
「ね、一緒に入ろうよ~」
「…解ったよ」
呆れながらも、了承してくれた。
雪ちゃんはなんだかんだ言いながらも、こうやってアタシの軽い我儘を聞いてくれる。
「じゃあ、お風呂沸かさなきゃね!」
「てか、あたし着替え持ってきてないよ?」
「アタシの貸してあげるから大丈夫!」
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