7月/番外編

第61話

部活での試合は、言葉通り有終の美を飾れたと思う。

順調に勝ち進み、見事に優勝を納める事が出来た。

そして、アタシ達の青春の1Pは、終わりを迎えたのだ。


3年間の部活動が終わった。

そう、秋からは受験勉強に専念する事になる。

それはそれで寂しくもあり、残念でもあり。


部活が無く、勉強をぼちぼちやっていた時だった。


『希美、今日これから逢える?』


雪ちゃんからメッセージが届いた。


『勉強が一段落してからでもいい?』


すぐに返信をする。


『うん、大丈夫』


すぐに雪ちゃんから返信が届く。


『じゃあ、夕方からでもいい?

 うち来る?』


『うん、行こうかな』


『一段落したら、また連絡するね』


『解った。

 じゃあ、後でね』


雪ちゃんからメッセージが送られてくるのは珍しい。

いつもはアタシからメッセージを送るのが定番だ。

何かあったのかな?


夕方になり、少し気温が下がった頃に、雪ちゃんが我が家にやって来た。

長い髪を束ね、ポニーテールにしている。

首もとを流れる汗をタオルで拭くだけなのに、それだけで絵になる。


「いらっしゃい。

 上がって~」


「お邪魔します。

 おばちゃんは?」


「今日はパートだから、帰ってくるの遅いんだ」


「そっか」


「ご飯一緒に作ろっか」


「うん」


2人で夕飯の準備を済ませ、出来た料理をテーブルに並べると、2人でそれぞれの椅子に座る。

そして、いただきますをして食べ始めた。

たまにこうして、2人でご飯を食べる事がある。

他愛ない話をしながら、テレビを見たり。


「部活、お疲れ様。

 優勝出来て良かったね」


夕飯を済ませ、食器を洗い終え、ソファーに座って冷えた麦茶を飲んでいると、雪ちゃんが口を開いた。


「うん、ありがとう!

 部活も終わっちゃったし、これから勉強三昧だよ~」


「そっか、希美は大学に行くんだもんね」


「雪ちゃんはどうするの?」


雪ちゃんは、少し俯く。


「…まだ全然決めてなくて。

 とりあえず、高校卒業出来ればいいかなって。

 それからでも、いいかなって」


進路の事は、それ以上話す事はなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る