第51話

「あ、そうだ」


枕元に置いておいた携帯を手に取る。


「これ、メイドのコスプレした時の写真」


先生に携帯を渡すと、画面の明かりが先生の顔を照らし出す。

と、先生の顔が赤くなるのが解った。

照れているのだろうか。

それとも、恥ずかしがっているのだろうか。


「どうしたの?」


「い、いや、その…可愛いなって…」


画面から目をそらしながら、あたしに携帯を返した。

どうやら照れているらしい。

…メイドが好きなんだろうか?


「何で照れてるの?

 顔真っ赤だったよ?」


「別に照れてないよ。

 ちょっと暑くなっただけ」


「こんなにクーラー効いてるのに?」


「し、白石を腕枕してるから暑くなったんよ」


「ふ~ん?」


何だか様子がおかしい。


「あたしのメイド、似合ってなかった?」


「んな事ないよ、すげ~可愛かった」


「…涼ちゃんはコスプレ見るの、好きなんだね。

 あたしのコスプレも、イヤらし~い目で見たんだね」


「ちょっ、違うって!

 そんな目でなんか、断じて見てないって!」


「何でそんなに必死なの?」


思わず笑ってしまった。

こんなに必死な先生は、今まで見た事がない。

これは面白くなってきたぞ。


「そうだ。

 去年ハロウィンの時に、希美とヴァンパイアのコスプレしたの見せてあげる」


再び携帯を先生に渡す。

やっぱり顔が赤くなる。


「…御馳走様です」


「涼ちゃんの目付き、凄くやらしい」


「やらしくないってば!」


「すっごいニヤニヤしてる。

 チャラ男で、変態で、コスプレ好き。

 減点10点」


「だから何の採点なんだよっ!?

 やらしくないし、チャラ男じゃないし、変態でもないぞ!

 コスプレは好きだけど」


最後の一言は、かなり小さな声で呟いた。


「ドスケベ」


「酷くないかっ!?

 見せてきたのは白石の方だろ!?」


「あたしは涼ちゃんにただ見せただけであって、イヤらし~い目で見てほしかった訳じゃないもん」


「ず、ずるいぞ!」


「ずるくないも~ん」


先生はわたわたと焦りまくる。

焦れば焦る程面白い。

こんな一面もあるんだなあ。

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