第50話

あたしもこんな風に接する事が出来るのは、希美と先生くらいしかいない。

もしかしたら、希美よりも話しやすいかもしれない。


「友達とも、こんな感じに話すん?」


「ん~、あんまりないかも。

 希美くらいしか話さないし」


「そっかあ。

 もっといろんな人と接すればいいのに。

 白石は面白いし、楽しいし、いい奴なのに勿体無いな」


「過大評価しすぎだよ」


「そうかな?

 少なくとも、私はそう思うけどな」


先生と一緒にいると、言われた事がない事を、たくさん言ってくれる。

それが照れくさくて、嬉しくもある。

けど、相変わらず素直になれないのがあたし。

どう反応していいのか、いまいち解らないのだ。


「人付き合いは苦手?」


「得意ではないかな」


「少しずつ改善出来るといいな」


「別にいいよ。

 面倒くさいし」


「まあ、無理に改善しろとは言わんけどさ。

 友達がいて、損はないと思うぞ?」


先生は友達が多そうなイメージだ。

あっけらかんとしていて、来るもの拒まず去る者追わずと言うか。

さっぱりとしているし、嫌われる事はないんじゃないかな、と思う。

そう、あたしとは正反対。


「白石はいい子だよ。

 最初は接し方が解らなかったけど、少しずつ話すようになったら、他の子と変わらないのも解ったしさ。

 こんなになつかれるとは思わんかったが」


先生はけらけらと笑う。

確かに先生になついているかもしれない。

先生が言うように、あたしも先生と接するのが気楽で楽しい。

それに、知らない事を教えてくれる。


「あたしも涼ちゃんに、こんなになつくと思わなかったよ」


「はははっ、何か猫になつかれた感じだなあ。

 白石は猫っぽいって言われない?」


「言われた事はないよ」


「猫耳カチューシャ着けたら似合いそうだな」


「…変態」


「へ、変態じゃねえしっ!?」


暗いから見えづらいけど、きっとまた先生は顔を赤くしているんだろうな。


「あたしにコスプレしてほしいの?」


「ちょっ、バ、バカッ、ちげ~し!」


「どもってる感じがやらしい。

 チャラ男で変態かあ、失格」


「何の審査だよ!?

 てか、チャラ男でもないし、変態でもないぞ!?」

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