第48話

「あ、白石はベッド使っていいからな。

 私は布団使うからさ」


先生は上半身を起こす。


「新しいベッドなんでしょ?

 先生が1番に使わなきゃ」


「ん~、白石一応お客さんだし」


お客さんっていう感覚で、来たつもりはないんだけどな。

強いて言えば、友達の家に遊びに来た感覚というか。


「じゃあ、ベッドで一緒に寝る?」


あたしの一言に、先生は目を見開く。


「そ、それは…いや、よろしくないような」


明らかに照れている。


「別に一緒に寝るくらいいいじゃん」


「いや、まあ、いいんだけどさ。

 ベッド狭くなるじゃん?」


何とか理由を取り繕っている感じが窺える。


「…一緒に寝たら、あたし襲われちゃうのかな?」


「お、襲わんしっ!

 なんつ~か、こう恥ずかしいと言うか」


赤くなった頬を、指先でポリポリとかいている。


「この前一緒に寝たじゃない」


「あれは否応なしにと言うかさ」


照れてる先生、可愛いなあ。


「じゃあ、あたし布団で寝るね」


すると、先生は困った顔になる。

先程から、ころころと表情が変わるなあ。


「いや、私が布団で寝るって」


ラチがあかない。

このままでは堂々巡りだ。


「先生、トランプある?」


「トランプ?

 どっかにあったと思うけど」


ベッドから降りた先生は、段ボールをごそごそと漁りだした。

程無くして。


「ほい、あったよ」


トランプが入った箱を渡してくれた。


「トランプで何すんの?

 マジックでもしてくれんの?」


「残念ながら、あたしはマジックは出来ないよ」


箱を開け、トランプを取り出す。

そこから、ハートのエース、スペードのエース、ダイヤのエース、クローバーのエース、そしてジョーカーを選んで束ねた。


「この5枚のカードの中からそれぞれ1枚ずつ選んで、強かった方が勝ち。

 ジョーカーが1番強いって事にしようか。

 先生が勝ったらあたしはベッドで寝て、先生は布団で寝る。

 あたしが勝ったら、先生とベッドで一緒に寝るってのはどう?」


5枚のカードを先生に渡す。


「イカサマしてないアピールで、先生がカードをシャッフルして?」


先生はカードを受け取ると、すぐにカードをシャッフルし始めた。

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