第41話

荷物を片付けている最中、白石の手が止まっているのが目に入った。

何かを見ているようだ。


「白石~、どしたんだ~?」


汗を拭いながら白石の方へ行くと。


「涼ちゃん、こっちの人は誰?」


しまった、これは前に2人でモン◯ンのコスプレした時に撮った写真。

どっからこんなものを…。

里美がレイヤーなのは、隠しておいた方がいいだろうな。


「あ~、それは、あれだ。

 友達だな」


「……山口先生?」


鋭い…いや、的中。


「に、似てるけど違うよ」


「そうかなあ…?」


「そ、そんなん見てないで、ほら、手を動かそうな」


半ば強引に写真を取り返し、適当な段ボールの中にぶちこんだ。


「涼ちゃんのコスプレ、初めて見た。

 凄く格好いいね」


「コスプレは自己満だしなあ。

 まあ、嫌いじゃないけどさ。

 格好良くはないぞ」


「あたし、コスプレってメイドさんくらいしかやった事ないなあ」


「へえ、白石もコスプレとかやるんだ?」


意外だった。

そういうのは嫌いそうだと思ったから。


「文化祭の時に、クラスでメイド喫茶やったんだけど、その時にじゃんけんに負けちゃって、メイドさんをやる羽目になったの。

 変な男の人に絡まれて大変だったんだよ。

 後で写真見せてあげる」


白石は綺麗だし、可愛い。

同性から見ても魅力的だと思う。

そんな白石だから、メイドも大いに似合った事だろう。

個人的にはワンピ◯スのナ◯のコスプレを…いやいや、何を考えているんだ、自分よ。


荷物を全てトラックに積み終わると、いよいよ新居へと向かう事に。

時刻は昼過ぎになっていた。


「白石は私の運転で行こうな。

 腹減ったろ?

 コンビニで軽く何か買おっか」


業者さんにコンビニに寄ってから向かう事を伝え、2人で里美から借りた車に乗り込む。

暫く車を走らせ、コンビニが見えたので駐車場に車を停めた。

店内はクーラーが効いていて、汗ばんだ肌のままでは少し肌寒かった。


「私はおにぎりでいいや。

 白石は?」


「あたしはアメリカンドッグが食べたい」


「お子様なもん好きなんだな」


「お子様じゃないもん」


白石は頬をぷくっと膨らませる。

ほら、そういうところがお子様なんだよ。

その言葉はそっと飲み込んだ。

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