第2話

職員室に着くと、室内にいた先生の目線が注がれた。

髪を切ると、こんなにも注目されるもんなのだろうか。


挨拶をしてから、自分の席に座る。


「おはよ~涼ちゃん。

 髪短くしちゃったんだね。

 短いのも格好良くていいねえ」


隣の席の山口里美が声をかけてきた。

高校からの付き合いで、縁あって同じ学校に勤めている。


里美は保健医だが、超が付く程のオタクでレイヤー。

夏と冬のあのイベントも、毎回欠かさず参加している。

白衣を纏い、ゆるふわカジュアルな服装をしていれば、優しくて可愛い保健室の先生。

が、好きな漫画やアニメやゲームの話になると、豹変するのは多分校内では私しか知らないだろう。


「おはよ、里美。

 さっき生徒にイケメンって言われたよ。

 女にイケメンってのもどうだかなあ」


「いいじゃない。

 最近はイケメン女子って言葉も聞くし。

 これで生徒のハートもゲットしまくりだね」


「いや、ゲットしませんよ。

 ゲットしてどうすんのよ」


「女子高生と禁断の恋とか?」


「アホか、何言ってんのさ。

 そんな犯罪染みた事、する訳ないっしょ。

 そもそも同性に惚れる予定もないわ」


「アタシは涼ちゃん好きよ~?」


「はいはい、解った解った。

 ほら、会議始まるぞ」


朝の会議が終わり、先生方はそれぞれの教室へと向かう。

私も相談室に行かねば。


基本的に休み時間に生徒が来て、家の事、友達の事、将来の事等を相談しに来るが、それ以外の時間は1人でいる事が多い。


ここだけの話、授業中は誰も来ないのをいい事に、里美と通信ゲームをして遊んでいたりとか。

保健室に行って、里美と話をしたりとか。

そう、要するに好き勝手やってるって事。


勿論仕事はちゃんとしている。

話を聞いて、的確な返事をしている…と思う。

上手い事を言えているかは、あまり自信はないけれど。

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