第11話
蘭丸は、グレーのズボンをはいた長い脚をきちんと揃え、
両手を優雅に前で組んで、どこを見るでもなく、
でも教室中のみんなが自分を鑑賞できるように、
さりげなくポーズをとっていた。
先生が、こほんと咳払いをして、教室を見まわした。
廊下側の端に座っている私は、
周りの机に空きがないのでほっとしていた。
「川崎、兄の面倒を見てやれ。」
なんて言われて、近くに座られるのはまっぴらだ。
同じクラスだけでも耐えられないのに。
「土屋。お前の横の席に座ってもらうから、色々教えてやれ。」
と先生が言ったので、少しざわざわした。
土屋君は学級委員で、「ミスター1年」と呼ばれている、
やはり美少年である。
となると、美少年が並ぶのか。
担任の先生(男性)も、普段は厳格だが、
今日は心なしかにやけている。
職員室で他の先生たちから、あれこれ言われて
真面目な顔を必死で保っている先生が想像できた。
この二人が存在するだけで、我がクラスの美少年度数は、
学年一、いや、学校で一番、いや、県で一番。
日本で・・、私はぶるっと頭を振った。
しかし、美少年なんて希少動物が、
二人もそろって同じ教室で、なんと席まで並ぶという。
しかも、そのうちの一人は、(私の母だと主張しているけど、)
今まで見たことのない、すこぶるつきの美形だ。
こうして客観的に見てみると、それがよくわかる。
少女漫画から抜け出たよう、という表現もあるが、
2次元ではなく、(CGでもなく)凹凸のある三次元である。
こんな完璧な美少年が同じ教室にいる、
と思うだけで、
クラスの子たちも先生たちも夢心地なんじゃないだろうか。
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