第9話
私が口を開こうとしたら、父が言った。
「あ、美々子。ママ、つまり、この蘭丸君は、
突然だが、今日から一緒に美々子と学校に通ことになったよ。
なんと双子の兄って設定だ。うははは。面白いねえ。」
「は?そんなめちゃくちゃなこと。
出来るはずがないでしょう。」
私は怒るよりあきれた。
「大丈夫。ぼくの友達に、凄腕のハッカーがいて、」
「ちょっと待って、父さん。
まさか書類とか作っちゃったの?ていうか、犯罪だよ。」
私は信じられなかった。
この真面目一筋の公務員の父が。
「大丈夫、大丈夫。絶対バレないし。」
父が笑ってるので、私は本気で腹が立ってきた。
「どうして、ママが美少年になって、
しかも私の学校にまでついてくるのよ。」
「いいじゃない。ママがパパに頼んだのよ。
ジジもママの頼みを聞いてくれるでしょう。」
「何よ、頼みって。」
質問に全く答えてもらってないのに、
もうママのペースに飲まれている。
「同じクラスに転校することになるの、この、ジジの双子の蘭丸クンは。
今まで病弱だったので、遠方の病院で療養してたのよ。
でも晴れて元気になり、ジジと一緒の学校に行けると。
だから仲良くしてあげて。ちゃーんと面倒みてね。」
美少年がにっこり笑った。
「ええええ、なにそれ~~~!!」
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