第6話
父は、母が美少年好き好きモードではなく、
デブ専モードの時に知り合ったそうだ。
若い頃の母は、振り子のごとく、
美少年とデブとを、交互に彼氏にしていた。
世の中に、デブは結構たくさんいるが、美少年は非常に少ない。
しかし、タイミングよくうまく見つかったそうだ。
過去の写真を見せてもらったら、
デブはにこやかに優しそうなのも、性悪そうなのもいたが、
美少年の方は、確かに、TVに出てきそうなハンサムなのに、
みな同じような感じの人ばかりだった。
それを言うと、ママは、
「そういえばそうねえ。うーん、こうして見ると、
確かに見わけつかないし、
いちいちこの人たちの名前も覚えてないなあ。」と笑ってた。
ほんと、ママはいい性格してるよ。
母の好みは、デブと美少年2種類しかないってのも不思議だが、いずれにせよ、
「ママは極度の飽き性だから、
付き合ってるとすぐ飽きちゃって、
もう一方のタイプと付き合いたくなるのよー。」
というのが、交互に付き合ってきた理由だそうだ。
(そういうことを思春期の娘に平気で言う母親ってのもどうなのよ)
「でもね、パパと結婚して、振り子が振り切って、
デブ専から戻らなくなったのよ。すごいと思わない?」
とママはいつも言ってた。
それを言うたび、父はニコニコ笑って、
「ママに感謝しなくちゃなあ。」
と、デレデレしていた。
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