第3話

背も高く、ほっそりして手足が長い。


顔だけじゃなく、全てが美しいってどういうことよ?っていうか、


「誰?」


私は、これが夢だったら大声出したら恥ずかしいかも、

と変な思考が働いて、

掛け布団をつかみ少し顔に近づけて、小さな声で聞いてみた。


「だから、ママよ、あなたの。ママ、美少年になっちゃったのよ」

と、その少年は、うひゃひゃと楽しげに笑った。


「はああああ!?」

私は、今度は大きめの呆れ声を出して、がばっと身を起こした。


「何、それ。あんた誰?ママって何よ?どういうこと?

ていうか、ほんと誰?」


美少年は、ニコニコ笑ってる。

笑顔も可愛い。


うわあ。なんて可愛いんだろう。


目が覚めて、目の前に知らない男子がいる。


考えてみれば(考えてみなくても)そんな素っ頓狂な状況なのに、

怖いとか、悲鳴を上げる、とか全く頭になくて、


うー、この子可愛い、ナマの美少年って初めて見たけど、

ほんとすごい(首にリボンはつけてないな)、


しかしまあ、美形の子ってのは、見てる者をいい気持にさせるね、

などと、妙に冷静に喜んでる自分に笑える。



美少年は、美しい白い歯を見せて笑顔で言った。


「さ、ジジ、起きて。パパの朝ごはんを食べよう」

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