第93話

目をゆっくりと開け、寝転がったまま腕を大きく伸ばす。

カーテンから零れた朝陽の眩しさに、目を細めながらリビングへと向かう。


テーブルに投げ出されたままの煙草を取り上げ、1本取り出す。

お気に入りのジッポで火をつけながらキッチンへ向かい、冷蔵庫からコーラを取り出し、蓋を開けると喉に一気に流し込む。

コーラを持ったままジッポをテーブルに戻し、そのままベランダに出て、朝の光を体いっぱいに浴びる。


今日はこの暑ささえ鬱陶しくない。

吸い込んだ煙を吐き出すと、再びコーラを喉に流し込む。

喉を駆け抜ける冷たさと、炭酸の刺激が気持ちいい。

朝からこんなに気分がいいのは、一体いつぶりだろうか。


煙草を吸い終わると寝室に戻り、携帯を取り出した。

メッセージが1件。

澪からだった。


『おはよ(^^)ノ

 今日は何処で待ち合わせしようか?

 花火大会は19時からだったよね。

 時間は18:30くらい?』


会場は自分が住んでる場所にある川沿い。

駅から歩いて行けば、大体20分くらいだろうか。


『おはよう。

 駅はきっと人が凄いだろうから、解りやすい所で待ち合わせしよう。

 時間は18:30で大丈夫。』


送信ボタンを押すと、テーブルに携帯を置いた。

簡単な朝食を済ませ、テレビを見ていると再び携帯が鳴った。


『じゃあ、あたしのバイト先の近くにある、コンビニで待ち合わせでどうかな。』


軽快に指先を動かし、メッセージを打って送信する。


『了解。

 じゃあ、後でね』


メッセージのやり取りを終えると、洗濯を済ませる。

時間はまだあるな、何をして時間を潰そうか。


読みかけの本を読もうか。

それともゲームでもしようか。

いや、内容が頭に入らないだろうな。

浮かれすぎな自分。


久々の再会。

嬉しくて、嬉しくて、舞い上がる気持ち。

早く会いたいのに、時間はなかなか進んでくれない。

じれったいな。


テレビから聞こえてくる天気予報。


『本日も快晴で、洗濯物もよく乾くでしょう。

 熱中症にご注意下さい。

 ゲリラ豪雨の心配も、今のところなさそうです』


雨の心配はなさそうだ。


時間潰しに、部屋の掃除でもするか。

その後には、録画しておいた映画でも見るかな。


約束の時間までは、たっぷり猶予がある。

のんびりと過ごすとしよう。

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