第86話

澪の水着は黒で、ビキニタイプのものだった。

レース生地の薄いスカートが可愛い。

胸元の真ん中には、ゴールドのアクセサリーが付いている。

左足首には細めのアンクレットが2本、左手首には少し太めのブレスレットが付けられていた。


ありさの水着は薄いピンクの生地にペイズリー柄のワイヤービキニで、スカート型のパンツだった。

派手すぎず可愛い柄である。


「どうだね?似合う?」


モデルのようなポーズをきめ、見せびらかすありさ。

ありさとは対照的に、恥ずかしそうにそわそわしている澪。

2人を前にして、固まったまま動けなくなってしまった美咲と梓。


「おいこら、聞いてる?」


2人の顔の前で手を左右に振ると、我に返った2人は赤面してしまった。


「夏ってこんなに素晴らしかったんですね、美咲さん」


「夏ってこんなに心がときめくものだったんですね、梓殿」


「なにおっさんみたいな事言ってんの?

 うちら変?」


「「いやいやいや、すげ~似合ってます、はい」」


「頑張って選んだからね~。

 ほれ、澪もいつまでも照れてないで」


おずおずと美咲の前に促された澪。

上目使いに美咲を見る。


「どう、かな…?」


右手で口元を覆い、この萌えすぎる生き物に、今すぐに抱き付きたい衝動を、懸命に抑えながら声を絞り出した。


「可愛い。

 すげ~可愛いです、まじで」


赤面しながら答える美咲を見て、更に照れくささは増したが、とても嬉しかった。


「美咲はどんな水着なの?」


「胸元が目立たないタイプだよ。

 無い胸を敢えて隠すタイプにしたんだよな」


「ありさ、そんなにプールに沈められたいか?」


「まあまあ」


美咲は黒のラッシュガードを纏い、中のビキニは白黒のボーダーのビキニだった。

黒のショートパンツ。

シルバーのネックレスに、足首にはミサンガが左右に1本ずつ付いていた。


梓の水着は白で、フード付きのタンキニ。

中はちょっとスポーティータイプのビキニだった。

短パンも白で、全身白だが嫌味はない。

美咲と同じくラッシュガードを羽織り、キャップを被り、サングラスをかけていた。


「2人の水着も似合ってるよ」


「梓、グラサンしてるとゴツいな。

 グラサン貸して~」


「はいよ。

 じゃあ、どのプールから入る?」


「流れるプールで流されようよ。

 あ、浮き輪ロッカーに忘れた!?」


「何やってんだよ。

 しゃ~ないな、持ってくるから鍵貸せ」


「すまん、頼む~」


「あ、あたしも一緒に行く。

 2人は先に流されてて」


「解った、よろしく~」

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