第68話
美咲は女の子なのに。
格好良くて、
悪戯好きで、
優しくて、
笑った顔が可愛くて、
寂しがりやで。
普通の女の子なのに。
どうしてこんなに、あたしの心を奪っていくんだろう。
もしあたしが本当に美咲の事を好きになったら……。
なったらじゃない。
もう好きになり始めてる……?
たまたま、だよ。
不意な悪戯に驚いただけ。
そうだ、そうだよ。
じゃなきゃ、そうでなきゃ、あたしはこれから美咲とどう接していいのか解らなくなりそう。
こんな気持ちは初めてだから、余計に戸惑ってしまう。
誰にも言えない、秘密の悩み……。
恥ずかしくない筈がない。
つい悪のりをしてしまった。
だって、そんな反応を見せるから。
もっと、その反応を見たかったから。
この心、ゆらゆら揺らす。
水面に映る月が揺れるような。
この気持ち、やっぱり私は彼女の事を……。
あの時、あのまま口唇をもっと近付けたら。
いや、何を言ってるんだ。
戸惑いを隠せない。
誰にも見せない、秘密の想い……。
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