第47話

「いやあ、いつ来てもいいところだなあ」


先程のやりとりはいつもの事なのである。

喧嘩をしている訳ではないのだ。


「あ、これ。

 母ちゃんが持って行けって」


袋を受け取ると、中には大量の卵が入っていた。


「どしたんよ、これ。

 みどりちゃん、卵も産むの?」


「いや、産んだのはあたしだけだ(多分)

 田舎から送られてきたから、お裾分けだって」


「いつもすまねえなあ。

 今度体でお礼する」


「肉体労働を任されるぞ」


「望むところ~」


ありさの家は、小さな弁当屋を営んでいる。

旦那さんと、みどりちゃんと、何人かのパートさんでまかなっているのだ。

昔はよく母親と、昼ご飯を買いに行ったもんだ。


「卵…。

 ん~、やっぱここはオムライスかねえ」


「あ、いいねっ!

 作ってプリーズ」


「え、食ってくの!?」


「母ちゃんにはみさきちの飯食ってくるって言って来た」


「どんだけちゃっかりさんだよ」


「そんなんもうとっくに知ってんだろ~」


「まあな。

 しゃ~ねえ、ちょっと買い物行ってくるから、ご飯3合炊いといて」


「よっしゃ、任せろやい」


着替えを済ませた美咲はありさに留守番をさせ、買い物に出かけた。

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