第43話

「別れたい…?」


その言葉に僅かに澪は反応を見せる。


「こんな状況が続くくらいなら、別れた方が楽だよね。

 あ~あ、昔は良かったのになあ」


言い終えると両方の腕を思い切り上に持ち上げ、体を伸ばす。

息を深く吸い込み、そして吐く。


「美咲は…彼氏いるの?」


少し躊躇いながら言ったように見えた。


「いや、いないよ。

 ちょっと前に別れた」


意外だったのか、澪の眉毛が上がる。


「なんで別れちゃったの?」


「ん~、自然消滅…とは違うか。

 ただ気持ちが無くなっただけだよ」


「引き止められなかった?」


「ないない。

 向こうも別れる事、解ってたんじゃないかな。

 別れようって言われたから、すんなり解ったって返したし」


「そっかあ。

 付き合って長かったの?」


「1年位かな。

 そいつにバイクの格好よさを教えられて、速攻免許取りに行ったんだ。

 単純でしょ?」


「あはは。

 美咲がバイクに乗ってるところを初めて見た時、本当に格好いいなって思ったよ。

 凄く似合ってる」


照れた顔を隠しながら美咲が答える。


「ありがとう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る