第40話

昼休みの屋上。


元気よく弁当を食べるありさ。

何かを考えてるのか、箸が進まない美咲。

美咲をチラッと見やると、彼女の弁当からウインナーを抜き取り、すかさず口の中に突っ込む。


にこにこしながら噛み締めていると、頭に重くて鈍い痛みが走る。

渾身の力を込めて、美咲がありさの頭にチョップをかましたのだった。

痛みと衝撃に耐えきれず、たった今まで噛んでいたものを吹き出すありさ。


「あにすんだよっ!」


「自分の胸に手を当てて聞けっ!」


「私は巨乳ですか?

 はい、あなたは紛れもなく巨乳です」


「てめえ、張り倒すぞっ!」


「うるせえっ、この悲乳がっ!」


「貴様ぁあああっ、言ってはならん事を!

 お前の罪を3つ数えろぉお!」


「俺の名を言ってみろっ!」



5分後。



「で?

 なんで君はぼ~っとしてるんさ」


「澪、元気無いなあって」


「あたしの事もそれくらい心配しろよ」


「まじ無理」


「チッ!

 澪が元気無い理由ねえ。

 無理に聞き出すのもなんだかなって感じじゃん」


「まあね。

 あんま気にしすぎてもうざいだろうから、程々にしておく」


「すぐにいつもの澪になるっしょ」


「そうだね」


残りの弁当を頬張りながら頷いた美咲。

食べ終わると寝転んで、空を眺める。


夏の前の青空の陽射しが気持ち良かった。

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