第39話

学級委員の号令がかかり、挨拶をする。

出席を取り、簡単な話が終わると美咲と澪の前に久保が立ち、日誌を澪に渡した。


「今日は2人が日直だからね。

 帰りの掃除、サボったら1週間トイレ掃除だからよろしく~」


可愛い笑顔を浮かべつつも、有無を言わさぬ圧迫感があった。

逆らう事など、以ての外である。

受け取った日誌を机の中にしまうと、澪は席を立った。


「どしたん?」


心配そうな顔を澪に向ける美咲に、困ったような笑みを浮かべる澪。


「トイレだよ」


クスッと笑われてしまった美咲。


「あ、そか。

 ごめん、いってら」


気にしすぎてる自分がいた。

あんまり心配しすぎても、うざがられるかな。

それはそれで嫌だし。


程々にしとこう。

そう自分に言い聞かせ、授業の用意を始めた。


授業中の澪は何処か上の空で、時々深い溜息をついていた。

話し掛けるといつもよりは笑顔が少なかった。

気丈に振舞う澪を見るのが、なんとなく辛かった。


しかし、自分には何もしてあげられない。

何か力になれる事はないかと考えてみたものの、何も浮かばなかった訳で…。

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