第37話

なんであの時、体は意識とは別に動いたのだろう。


帰り道、バイクを走らせながら考える。


しかも、お姫様抱っこしちゃったよ。

なんなんだ、自分。


終わらない自問自答。


保健室での、あの表情にドキっとしたのは何でだ?

あ~、あれか。

男がいないから、欲求不満なんか?

早く男を作れって、体からのサインか?


…いや、多分違う。


照れた顔、見られてないだろうか。

今更こんな事を考えても、仕方がないのだけど。


たまたま…。

たまたま心が反応して、ドキッとしただけだろう。

そうだ、そうに違いない。


苦しい言い訳だと、自分でも解っているけど。


急に思い出す、ヴィヴィアンの香り。

抱き上げた時、僅かに感じた澪の体温。


…自分、変態なのか?

やはり欲求不満なのか?

あ~、訳解らん。


誰かに話したいけど、こんなシビアな事、誰に話せばいいんだ?

ありさに話したら…考えただけでも恐ろしい。


うん、気にしないようにしよう。

きっと気のせいだ。

そういう事にしよう。


なんとなく後味は悪かったが、そうやって自分を説得させてみた。


夕陽が眩しい。

少し目を細めながら帰路を急いだ。

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