第13話

再びありさをみると、涙目になりながら此方を見ている。

後で吊るし上げる事が確定した瞬間である。

溜息を1つ吐いてから、自己紹介をする事にした。


「田山…美咲です。

 よろしくお願いします…」


精一杯の言葉だった。

ぺこりと軽く頭を下げると、拍手が聞こえてきた。

なんとか乗り切れた、良かった。


ゆっくりと顔を上げる。

ふと、1番後ろの席の人と目が合う。


少し明るめの栗色のような髪色。

綺麗に伸びた長い髪は、毛先を緩く巻いている。

左右の耳に、ピアスを1つずつ付けてる。

ピアスはヴィヴィアンかな。

色白の肌に小さな顔。

目が大きくてくりっとしてる。


僅かな時間ではあったが、お互いに見つめ合う形になってしまった。

あんまり長く見ているのも失礼かと思い、目をそらしてみる。


「はい、ありがとう。

 みんな仲良くしてね。

 席は佐山さんの隣ね」


今目が合ってた人、佐山って言うのか。

隣同士になるし、仲良くなれたらいいのだけど。

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