第12話

「みんな、おはよ~。

 今日からこのクラスを受け持つ、久保玲です。

 初めましての人も、そうじゃない人もよろしくね。

 

 さて、知ってる人もいると思うけど、このクラスに新しい子が加わります。

 じゃあ田山さん、入ってきて~」


静かにドアを開けると、クラス全員の視線が一気に美咲に注がれた。


『ああもう、まじでやめてあげて。

 こっち見ないで、本当に。

 恥っずいから!まじで!

 いやでも、ここで露骨な態度を取るのもあれだし…。


 あ、畜生、ありさの野郎、下向きながら、しかも肩を小刻みに震わせながら笑ってやがる。

 あの野郎、他人事だと思いやがって…』


久保の横に並ぶと、クラスを見渡す事が出来た。

いろんな人がいるな。

ケバいのもいれば、大人しそうな人も、普通な感じの人も。


だが、今その全員が此方をガン見している。

ぶっちゃけ、もうそろそろ限界である。

大変です、美咲初号機は活動限界です。


「じゃあ、簡単に自己紹介をしてね」


最大級の難問が残っていた。

自己紹介…上手い事なんて言えないのに。

こんな事なら、いっそ紙芝居でも作っておけば良かっただろうか。


嗚呼、更にみんなの視線が突き刺さる。

これはなんのプレイですか、羞恥ですか。

こんな辱めは好きではないのに…。

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