第52話

「……咲良?」

「あ、ごめん……なに?」


 真が、型に移したブラウニーを入れて、空気を抜いた。


「これ焼くよ? どうかした? ぼうっとして」

「ううん、なんでもない。これ焼いたら、クッキーもだね」


 咲良はため息を呑み込み、取り繕った笑みを浮かべた。

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