第51話

「風磨ー、地佳ー、ちょっと来てー」


「ばあちゃん?」


「はーい」



風磨と地佳がお祖母ちゃんに呼ばれてキッチンから出ていく。



「あたしのほっぺは無事ですか?」


「赤くなってるけど、大丈夫だよ」



向かいに座る涼子さんに聞くと苦笑いの大丈夫が返ってくる。


良かった、無事かあたしのほっぺ。



「悪かったな、海」



おん?


……


おーん!?


雷斗が謝ったぞ!?


うぉい、嘘だろ?


あの雷斗がっ。



「失礼だな」


「ほっぺはっ。もうほっぺは止めてください」



本当になくなります。



「まぁ、これで許せ」



差し出されるコーラ。



「や、許せもなにも金を出したのはあたし」



受け取る。


そして喉が渇いていたから開ける。



その途端



ブシャアアアッ!!



「のぁあ!?」



コーラが噴き出した。


地味に噴き出した。



とっさに反応できなかったあたしの手は……服は……


コーラでビチャビチャに。



「「……」」


「大丈夫!?」



無言で雷斗を見るよね。


そうすると



ニッターッと邪悪に邪悪に笑ったよね!!


わざとか。


わざとなんだな、この野郎!!



「フッフッフッ。とう!!」



道連れじゃあああっ。


と、雷斗に飛びかかった。


飛びかかったけれども。



「お見通しなんだよ」



スッ。



「!?」



ツルッ!!



べシャッ!!



「「「……」」」



華麗に避けられ、溢れたコーラで滑り、溢れたコーラのところに倒れた。



「アハハハッ!!」


「お?なんだ?なんだ?雷斗がバカ笑い!?」


「珍しい」


「喧しいねぇ」



風磨に、地佳にお祖母ちゃんが戻ってきた。



「「「「……」」」」


「大変っ、大変っ」


「アハハハッ!!」




……雷斗、殺す。

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