第48話

「ボッコボコに……。大丈夫ですか?アナタ達が怪我をしたりとか」



自分の方が大変なのに、あたし達の心配をしてくれる涼子さん。


本当に優しい人だ。


こんな人を苦しませるとか、許さん。



そんな涼子さんにあたし達は笑う。



不敵に。



「大丈夫ですよ、だってあたし達」



「「「俺達」」」



「「「「強いんで」」」」



四人の声が揃う。


そうなんです、あたし達、強いんです。



「因みに、店長もボコる」



「店長も!?」



あたしの言葉に涼子さんはビックリするけれど



「それな」



「従業員一人守れないなんてな」



「なんのための店長だ!!」



他は大いに賛成してくれた。



よし、では



「涼子さんには片が付くまで、うちに泊まってもらいます」



「え!?」



「一人は怖いでしょう?」



お祖母ちゃんが言う。



「涼子さんの部屋にコイツらを入れるわけにはいかないし。あたしだけだと……」



「海ばっかりズルい!!海が居るなら俺もOKでしょ!!」



「コイツが喧しいんで」



誰か、なんて言うまでもない。



地佳である。



あたしがいるからOKなんて、どういう理由だ。



ダメに決まってんだろ。



「ここでなら、ばあちゃんも居るし、俺達も居る。クソ野郎とそこのバカから守れる」



凄い真顔で風磨が言う。



「俺から守るって何!?俺ほど……」



「いいですか?涼子さん」



キャンキャンと吠えようとする地佳は放っておいて、涼子さんに聞く。



「……じゃあ、お願いします」



ご迷惑をおかけしますが、と涼子さんは頭を下げた。



「お任せを。涼子さんのことはこの俺が命にかえても守り」



吠えるのを止め、めっちゃキメ顔で涼子さんの手を取ろうとする地佳。




「お前もうマジでうるせぇ」



「ギャーーッ」




でもそれよりも早く、雷斗にバックを取られ……



チョークスリーパーをかけられるのだった。



さて、あのアホぅどもは置いといて

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