第46話

「「「きっしょっ!!!」」」



男3人全身全霊全力の声だった。



あたし?


あたしは……。




「あっ、海が白目向いてる!!」



「スッゲェ顔だな、オイ!!」



「声も出ねぇほどの衝撃だったか……」



あたしの顔を見て爆笑する地佳と雷斗。



立ち上がった風磨に頭をチョップされ、黒目が戻る。



「おかえり」



「ただいま」



って、挨拶してる場合じゃないのよ。



「そんな奴……」



居る!?って聞こうとした。


聞こうとしたけど、現に居る。


居るからこうして涼子さんはウチに来たのだ。



こうして聞かされたあたし達でもドン引きするほどのもの。



突然、しかも知らない人からそんなことを言われて、どれほどの恐怖だっただろう。



テーブルの上で組まれた手が少し震えている。



あたしはソッと涼子さんの手に触れた。



男3人も心配そうに涼子さんを見てる。



「私は……もう怖くて怖くて。でも行かないって言わないと大変なことになると思って……。行きませんって、人違いですって言ってその場を離れようとしたんです。でも」



涼子さんは目をギュッと瞑る。



「人違いなんかじゃないよ、涼子ちゃんって」



「「「「………」」」」



もう……ホラーやん!!



気色悪いを通り越してホラーやん!!



「それは本当に怖かったですね」



泣きそうな表情で地佳があたし達の手に自分の手を重ねてくる。



ほぼあたしの手なのだが。



まぁ、地佳なりに涼子さんを安心させたいのだろうから黙っておく。



「そのことを店長は?」



風磨が聞く。



「店長はその時居なくて」



……店長。



「「全くもって役に立たねぇな」」



心の声が口から出て、雷斗とハモった。



だよな。


それな。



ウンウンとあたし達4人が頷いていると、涼子さんは少しだけ笑った。

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