第43話

あたしは、女の人をダイニングテーブルのある台所へと通した。



「あ……あの……」



「ああ、コイツらのことはお気になさらず」



戸惑う女の人の視線の先にはテーブルに突っ伏している男二人。



その二人の頭には仲良くタンコブが2つずつ。



フシューッと煙が立つほどの出来立てほやほや。



犯人は誰かって?



もちろん、あたしである。



突っ伏しているのは地佳と雷斗。



お客様のよく来るこの家はダイニングテーブルがデカい。



十人は座れる。



二人とは離れた所に女の人を座らせて、その向かいにあたしも座った。



って、飲む物を



「どうぞ」



スッと女の人の前に置かれたコーヒーカップ。



おお、風磨。


気が利く。


アイツらとは大違……



スッ……



ん?



スッ……



「何やってんの、アンタは」



「いや、どれが良いかわからんかったから」



コーヒー、オレンジジュース、紅茶が女の人の前に並ぶ。



もう本当に困惑って感じの女の人。



「申し訳ない、バカばかりで」



「……俺はバカじゃない」



雷斗が突っ伏したまま言う。



「いや、間違いなくバカだ」



断言出来る。



「……フフッ」



笑われる。



親指を立ててくるな、地佳。



「私の名前は荒涼子あらりょうこと言います」



おお、そういえば名乗ってなかった。



「咲坂海です」



「火野風磨」



「森高雷斗だ」



「音無地佳です!!」



「「「やかましい、地佳」」」




張り切りすぎだ。




「あの……私、変な男の人に目をつけられてしまったみたいで……」



「ぬ?」



「あ」



「バカッ」



女の人……涼子さんの一言で、地佳が家を飛び出した。



そして



「……誰も居なかった」



悔しそうに帰って来る。



「人の話は最後まで聞け」



「むー」



はぶてる地佳を隣に座らせて、風磨も一番端の涼子さん側に座り聞く体勢となったあたし達に涼子さんは話し始めた。

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