第42話

「……」



女の人も怯えてんじゃん。



「なんだよ?」



腕を引っ張って横に並ばせる。



「あたしの後ろに立つな」



「ゴルゴ1◯か」



「違うわ。あんなにキリリとした顔はしてない」



「顔の話じゃない」



「え……?」



「「……」」



見つめ合うこと数秒。



「フフッ」



女の人が笑った。



おお。


女の人の緊張が少し解けたようだ。



さすがゴルゴ◯3。



「突然すみません。ここは咲坂晴子さきさかせいこさんのお宅ですか?」



「はい、咲坂晴子は祖母で今……」



井戸端会議って他になんて言うんだ?


……ハッ!!



「町内会議に出てまして」



「井戸端会議の間違いだろ」



ドスッ!!



「グッ!?」



目にも止まらぬ早さで、風磨の脇腹にパンチ。



必死で考えたのにっ。


お祖母ちゃんの威厳を保とうと。



悶絶している風磨は放っておいて。



「あ……あの、ご相談したいことがあったのですが」



フム……。



チラチラ風磨を見ながら女の人が言う。



困っている様子。



ここで追い返してはお祖母ちゃんの名が廃る。



「祖母が帰るまで、あたしが話しを聞かせてもらっても良いですか?」



話しを聞くぐらいならあたしでも出来る。



「は」



「あっ、地佳この野郎っ」



雷斗の焦った声。



滑るように廊下を走ってきた地佳。



あたしと風磨の間に割り込んでくると



「喜んでー!!」



そう叫んで、女の人にスリッパを差し出す。



「「居酒屋か」」



丁度よい所にきた地佳の頭を、あたしと風磨はおもいっきり叩いた。



「痛いっ」



「アハハッ!!って、ごめんなさい」



「笑顔、素敵です!!」



「コイツのことは放っておいて、どうぞ」



「お邪魔します」



女の人は靴を揃えて脱ぐとスリッパに足を通した。



「どうぞどうぞ」



「風磨」



「おう」



ガシッ!!



「ちょっ、風磨っ。首っ首がしまっ」



「アイツの後ろに立つな。殺られるぞ」



「ゴルゴ!?似てるよね、海!!」



!!??


なんだと!?



「アーッハッハッハッハッ!!」



雷斗の爆笑が聞こえてきた。

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